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日本人に愛想がいいあの人、なぜかローカルには嫌われている—バンコク駐在で気づいた職場の真実

「あの人、日本人の上司にはいつも笑顔で愛想がいいのに、なんかローカルスタッフには評判悪いらしいよ」

バンコクやジャカルタ、クアラルンプール。東南アジアの職場で駐在生活を送っていると、こんな話を一度は耳にするはずだ。

駐在員歴10年超の筆者が実際に目撃してきた、「職場の信頼」にまつわる逆説を今日は掘り下げたい。


目次

  1. 「二面性」は隠せない
  2. なぜ媚びるローカルはローカルに嫌われるのか
  3. 逆もまた真なり:ローカルに人気の人が日本人に嫌われる理由
  4. 「クレンジャイ」という文化との違い
  5. 駐在員が本当に信頼を築くためには
  6. まとめ

「二面性」は隠せない

日系企業の現地オフィスで働くローカルスタッフを観察していると、ある法則に気づく。

日本人駐在員に対して愛想よく振る舞い、会議ではうんうんと頷き、ランチにも積極的に誘われるスタッフほど、現地スタッフのグループでは浮いていることが多い。

逆に、日本人にはそっけなく見えるのに、ローカルスタッフの間で抜群の信頼を集めている人物がいる。

この現象、単なる「好みの違い」では片付けられない。そこには、信頼の構造の違いがある。


なぜ媚びるローカルはローカルに嫌われるのか

結論から言えば、理由は3つある。

① 「本音」が読まれている

東南アジアの職場文化では、表向きの礼儀よりも「誰が本当に自分たちのことを考えているか」のほうがはるかに重視される。

日本人に媚びるスタッフは、多くの場合、ポジションや評価を意識した行動をとっている。それはローカルの同僚にはすぐに見透かされる。

タイ人、インドネシア人、マレーシア人……彼らは「本音と建前の使い分け」に対してとても敏感だ。自分たちも日常的にそれをやっているからこそ、他人のそれを嗅ぎ分ける鼻が鋭い。

② 仲間を売る存在と見なされる

日本人の前で必要以上に同僚の失敗をフォローしたり、逆に情報を流したりするスタッフは、「スパイ」あるいは「チームの裏切り者」として認識されることがある。

これは東南アジアに限った話ではないが、集団の結束を重視する文化圏では特に、「誰の味方か」が重要になる。日本人側に過度に肩入れするスタッフは、仲間外れにされやすい。

③ 「公平性」への強い意識

東南アジアのローカルスタッフは「公平かどうか」を非常に気にする。

日本人にだけ愛想よくし、現地スタッフには冷たく接するスタッフは、「不公平な人間」として評価が下がる。公平さを重んじる職場文化において、これは致命的だ。


逆もまた真なり:ローカルに人気の人が日本人に嫌われる理由

このコインには裏面もある。

ローカルスタッフに慕われ、絶大な信頼を集める人物が、日本人駐在員には「扱いにくい」「コントロールできない」と敬遠されることが多い。

理由は単純で、そういう人物はローカルの視点でモノを言うからだ。

日本人の指示に対して、現地スタッフの感情や文化的背景を理由に異議を唱える。会議で「それはうちの文化では難しいです」とはっきり言う。

日本人駐在員からすると、これは「使いにくい部下」に映る。だが、ローカルスタッフにとっては「自分たちの代弁者」であり、信頼できるリーダーなのだ。


「クレンジャイ」という文化との違い

ここで混同しやすいのが、タイ文化に根付く「クレンジャイ(เกรงใจ)」という概念だ。

クレンジャイは「相手に遠慮する・気を遣う」というニュアンスで、タイ社会における人間関係の潤滑油として機能している。相手を傷つけないよう、無理なお願いをしないよう、自然に一歩引く感覚だ。

日本人に媚びるスタッフが持つ「上司への迎合」とは、本質的に異なる。

クレンジャイは対等な関係における配慮であるのに対し、媚びるという行動は利益を得るための戦略的行動に見なされる。

この違いを理解していない駐在員は、「愛想のいいタイ人スタッフ」を信頼できると誤解し、「そっけないスタッフ」を問題視してしまう。これは大きな落とし穴だ。


駐在員が本当に信頼を築くためには

では、駐在員はどう立ち回ればいいのか。

筆者がバンコク・シンガポール合わせて7年の駐在経験から学んだことは、次の3点だ。

① 「誰が本当に仕事をしているか」で判断する

日本人への態度ではなく、チーム内での評判と仕事の結果で人を評価する習慣をつけよう。定期的にローカルスタッフ同士の関係性を観察することが大切だ。

② ローカルスタッフと土日に出かける

職場の外で一緒に時間を過ごすと、本当の関係性が見えてくる。誰がどのスタッフと仲がいいのか、誰が避けられているのか——これは職場内だけでは決してわからない。

③ 「日本人に感じのいい人」を自動的に信頼しない

これが一番難しいが、一番重要だ。

人間は、自分に好意を示してくれる相手を信頼しやすい。だがそれが「戦略的な好意」である場合、重要情報を任せたり、判断を委ねたりすることは危険だ。

現地スタッフから慕われているスタッフこそ、チームの本当のキーパーソンである可能性が高い。


まとめ

今日のポイントを整理しよう。

  • 日本人に愛想のよいローカルスタッフが、現地で嫌われていることがある
  • その理由は「本音が読まれる」「公平性への違反」「仲間の裏切り者扱い」の3つ
  • 逆に、ローカルに慕われるスタッフは、日本人には扱いにくく映ることがある
  • クレンジャイ(配慮)と媚び(戦略)は似て非なるものだ
  • 職場外の関係性を観察することで、本当のキーパーソンが見えてくる

東南アジアの職場は、表面だけ見ていると必ず判断を誤る。信頼の構造は、日本とは根本的に異なる。

「なんであの人が人気なんだろう?」と感じた瞬間が、あなたの現地理解を深めるチャンスだ。


この記事は「新任駐在員に伝えておきたい100のこと」シリーズの一部です。東南アジアでの職場・生活・ビジネスについて、10年以上の経験をもとに発信しています。

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kiwami
海外在住経験を活かし、海外移住をもっと広めたい。 旅行、スポーツ、写真などのネタを投稿
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