タイは観光立国として世界的に知られています。そして、タイ人の多くは「ASEANの中でタイは第2位の国だ」と自信を持って言います。
では、なぜそのような意識が根付いているのでしょうか?🤔
ここでは、4つの理由に分けて考えてみます。

1️⃣ メディアの影響 ― 隣国の存在感が薄い 📺
一般的な理由として考えられるのは、マレーシアやインドネシアといった対抗国に「目立ったものがない」と思われている点です。
タイには食事・観光地・ファッション・ドラマなど、目立つコンテンツが多く存在します。
一方で、マレーシアやインドネシアの料理やドラマが話題になることは少なく、「マレーシア料理レストラン」という言葉を耳にする機会もほとんどありません。
シンガポールは「お金持ちの国」という共通認識がありますが、それ以外の国についてはメディアやSNSでの露出が少ないため、結果的に「タイはASEANで上位だ」と考えられるのでしょう。
2️⃣ 宗教観 ― 仏教が一番だという意識 🛕
タイにおける宗教の割合は以下の通りです。
- 仏教:95%
- イスラム教:4%
- キリスト教:0.6%
タイでは小乗仏教が主流であり、日本で広がる大乗仏教とは異なり、「個人が悟りをひらくこと」に重きが置かれています。
この思想は日常生活にも表れ、例えばレストランでお金持ちの客が給仕を厳しく叱責する場面があります。背景には「努力して悟りを得た自分は地位が高い存在であり、そうでない者とは違う」という考えがあるのです。
さらに、イスラム教徒への態度も決して優しいとは言えません。イスラム教徒が貧しい地域に住むことが多いという現実もあり、マレーシアやインドネシアに対しても「仏教の方が上」という判断を下している可能性があります。
3️⃣ 他国との接触の少なさ ✈️
タイ人がよく旅行するのは台湾・ベトナム・シンガポールです。留学先としてはオーストラリアやアメリカ、イギリスが多く、マレーシアやインドネシアは選択肢に入りにくいのが実情です。
実際に、私が仕事でマレーシアやインドネシアに行くと、飛行機は空席が目立ちます。インドネシア便はそもそも本数が少なく、観光やビジネスでのつながりも薄いことが分かります。
2023年の貿易データでも、輸出に占める割合はマレーシア4.4%、インドネシア3.6%と低水準です。
多くのタイ人が輸出構成比を直接意識しているわけではありませんが、日本や中国が主要な貿易相手国であることは学校やメディアで広く知られています。
その一方で、マレーシアやインドネシアは話題に上がらず、結果として「よく知らない国=経済力も低い国」と短絡的に判断されてしまうのです。
4️⃣ プライドの高さ 👑
最後の理由は、タイ人特有のプライドの高さです。
少子高齢化が進む中で、タイでは子どもに対する愛情がとても深く、日本と比べると「過剰」と感じることもあるほどです。学校への送り迎えはもちろん、好きなものを食べさせ、好きなことをさせるという家庭環境が一般的です。
教育はしっかりしていますが、日本のように「躾」を重視する文化はあまり強くありません。そのため、会社に入ると以下のような特徴が見られます。
- 叱られることに慣れていないため、一度叱責を受けると引きずる
- 思った通りに進まないと、内省するのではなく他責にしやすい
これらの傾向が「自国はASEANでも上位」という意識につながっていると考えられます。
✅ まとめ
タイ人が「タイはASEANで2位」と思う背景には、以下の4つの理由があります。
- 📺 メディアの偏り → 他国の存在感が薄い
- 🛕 宗教観 → 仏教優位の価値判断
- ✈️ 接触機会の少なさ → 他国を低く見積もる
- 👑 プライドの高さ → 自国評価を高める心理
これらの要素が重なり合い、タイ人の国民意識を形成しているのです。