最近、Americas Got TalentやBritain’s Got Talentにはまっている。日本でもかなり有名になったスーザン・ボイルを輩出した番組だ。
番組を簡単に説明すると、素人が出てきてパフォーマンスをし、審査員が評価する。それだけだ。あとは、勝ち進めばシリーズ王者になって賞金をもらえるというとてもシンプルな番組。
単純に歌やダンスが上手いという人は目立つ。でも、それ以上に、決勝に行くまでに成長した姿や、上の動画のようにストーリーがある人がパフォーマンスをしたときに、大いに感動させられるのだ。
番組が大げさにしている部分もあることにはあるが、今まで気づけなかった原石を発掘したような感動がある。
全米が号泣 ナイトバード
上で示した動画は、生存率2%と言われた女性ナイトバードが自作の曲「It’s Okay」で審査員のサイモンらに挑む。サイモンは、音楽プロデューサーである一方、辛口コメンテーターとしても有名である。そんな彼がゴールデンブザーを押す(このブザーが押されると、次々回への進出が自動的に決まる仕組みになっている。)。
彼女の歌を聴いて思ったのは、ストーリーを持っている人には、目には見えないオーラのようなものをまとっていて、それが声や姿勢に現れる。ことばでは説明しづらいものだ。彼女がガンであることを知らなければ、ふーんで終わっていた可能性もあるが、今回は何かが違うなと感じた。そんな回だった。
歌の披露後には名言も飛び出す
「幸せになろうと思うまで困難を待たないで」(You can’t wait until life isn’t hard anymore, before you decide to be happy.)歌が終わった後、サイモンとの会話の途中でナイトバードはこうしたことを言っている。最初は、あまり理解できなかったのだが、今はこう解釈している。「早く幸せになろうと決心して」と。
多くの人が、幸せになるには、何か大変なことをしなければならないと思っているのではないだろうか。長い人生の中で幸せになれるのは、果たして数十年後なのか。でも、彼女のように数十年生きられない人もいる。彼女にとっては、今、この瞬間が幸せになる必要がある。明日はないかもしれない。一瞬、一瞬をすごく大切にしていることが彼女の発言からわかった。
彼女の発言は、今パンデミックで苦しむ我々にも応用できる。パンデミック=苦しいと思うことは簡単だが、これがいつ終息するのかは誰にもわからない。たとえ数年後に終わるとしても、終わることを待てない人がいることも確かである。そうした中でどんな考えでいれば心穏やかに生きられるのか。彼女が言うように、いますぐに幸せになろうと思うことである。何気ない日常の中に幸せは実はあふれている。それを噛みしめることだと僕は思う。
ナイトバードの続きの動画は?
America’s Got Talentのコンペティションは2021年8月の今も続いており、上の動画が最新のものである。(サイモンが泣きそうになっている姿が印象的なサムネイルでもある。)今は、2回戦が行われているところであるが、彼女はガンが進行し体調が優れないため棄権。代わりに、オンラインでの会話が実現した。
彼女を見るといつだって勇気づけられる。特に目が美しい。本来ならば暗くなってしかるべき状況なのに、明るい。表情が、目が、前向きなのである。「生存率2%はゼロじゃない」。彼女が言っていたとおりだ。早い回復を心から祈ります。