プレゼン資料は、会社員であれば誰しもが何らかの形で作ったことがあるのではないだろうか。プレゼン資料を作ることは一見ハードだけれども、プレゼンすることは楽しいと考えている私。プレゼンしているときを想像しながらニヤニヤして資料を作成していたりする。
プレゼン資料作成は奥が深い。今回は、私がふだん心がけていることをお伝えする。
1.プレゼンする目的を考える
いきなりプレゼン資料の作成のコツとは異なるタイトル。でも、これが一番大事といっても過言ではない。
簡単にいえば、プレゼンを聞いてもらうことで「相手に何をしてほしいのか」。行動を促すことがポイントだ。
例えば、コンプライアンス研修であれば、相手に「気づきを得てもらい、実際にコンプラ違反にならないよう行動してもらうこと」が目的となり得る。
営業研修であれば、「営業活動を効率的に、積極的に行うことで、利益に貢献してもらう」と設定することが考えられる。クライアントにプレゼンをする場合は「クライアントに当社製品を買ってもらうこと」になるかもしれない。
目的をきちんと設定できていないと、どうしても資料のメッセージ性がぶれる。ここをおさえておかないと、受講者は、スピーカーが何を言いたかったのかがわからずに帰ってしまうことになる。これでは、スピーカーも受講者も時間がもったいないだけだ。
2.受講者を知る
まだ資料の作成Tipsに進まないのか、と。そうなんです。資料を実際に作る前から、すでに戦いは始まっている。
受講者の年齢、職種、考え方など、できれば前もって具体的に知っておくことが望ましい。たとえ研修であったとしても、一律に同じように話すのではなく、各回の受講者に合わせた話し方をすると良い。
例えば、年齢が若い受講者であれば、すぐ飽きてしまうことが考えられるので、最近の面白い身近な事例を話したりする。以前、私は20代が多く参加する研修の中で、合コンという話題を出したところ、少し突拍子もないところはあったが、めちゃ印象に残ったと言われた。そんなことを研修中に話題にした講師は今までいなかったと(笑)。
他方で、年配の方には、資料の文字を大きくしたり、社内の知識を前提にした内容にすることも考えられる。また、声を大きくはっきり言うということも求められるかもしれない。このように、相手に合わせるべき点が大いにある。
3.いちスライド、いち論点
スライドに、なんでもかんでもメッセージを伝えないことである。
相手に伝わることを主眼とすれば、むりやり一枚にまとめる必要もないのである。
ひとつのスライドに、ひとつの論点を書く。それだけのこと。空白をおそれないこと。
4.文字を少なくする
簡単なようで難しい。特に英語だと英語力が低い人にとってはかなり難しくなる。
なぜ文字を少なくするのかといえば、相手にスッと伝わるようにするためである。
せっかくのいい話でも、相手に伝わらなければ何も意味がない。
長く複雑な文章は、受講者の頭に入らないだけでなく、時には混乱(時には怒りも)さえ生んでしまう。
資料には、できるだけ短く、かつ分かりやすい文章を書くように心がけよう。
文字を少なくするTips
文字を少なくするTipsとして、熟語にする方法があげられる。
例えば、
- (修正前)研修を受ける人
- (修正後)受講者
- (修正前)法令を守らなければならない
- (修正後)法令遵守
このように、熟語にすることで、文字数が減る。場合によって文章の構造もわかりやすくなることがある。
無理に熟語にしろとは言わないが、伝わりやすいものになるよう工夫してみよう。タイトルは特に気を遣うところで、熟語にした方が、パーンと伝わりやすいことが多いと感じている。
5.色数を減らそう
写真や画像を除いて、私が使う色は、白、黒、青、赤くらいである。
実にカラフルな資料を見たことがあるけれど、どこが重要なのか全くわからなかった。むしろ、イライラしたくらいだった。
宣伝材料を作っているわけではないので、改めて今回のプレン全の目的が何だったのか、上記1に立ち戻って考えてみてほしい。
6.下線、太字を多用しない
下線や太字を多用してしまうとどこが重要なのかがわからなくなってしまう。下線に色がついていると、さぞかし重要なのだろうと思うが、実はそうでもない。そんなことがあったりする。本当に重要な単語、文章にだけ下線や太字を使うようにしよう。
ちなみに、英語にすると文字の線が細くなるせいか、太字率が極端に上がる傾向にある。単純に文字の線が気になるのであれば、フォント自体を変えるべきだ。日本語のフォントがベースであるために英語の文字が変になっていることもあるので、注意しよう。私は、「Calibri」を好んで使っている。変にスペースが空かず、尖りすぎていない印象に好感を持っている。
7.文字をデカく
もう、散々聞いてきているとは思うが、まだこれが実践されていないことが多い。なぜなのだろうか。
文字数が多くなれば自ずと文字も小さくなる。だから、文字をデカくするためには、文字数を少なくすることを考えなければならない。おそらく、文字数が多い人は、要点をまとめる力がないか、文字数を少なくする工夫をしていないかのどちらかであると考えている。
そもそも、私には、スライドにいっぱい書きたいという理由がわからない。少ない文字の方が早く仕事も終わるではないか。というのは半分冗談として、文字をずらーっと書いてしまっているスライドは今でも散見される。おそらく、どこかのドキュメントからそのまま張り付けていたりするのであろう。怠慢だ。今すぐに文字を少なくする表現を考えてみよう!
8.改行をうまくする
文章の区切りが悪い例がある。例えばこうだ。
”海外の人からすると日本企業のミーティング方
式は謎だらけである。”
おわかりだろうか。ミーティング方式でひとつの単語であるところ、方で改行されているため、スッと入ってこないのである。こういった点は、文章が長かったりすると多く見られる。
そもそも、プレゼン資料においては、完全な文章にしなくてもよい。したがって、上記の例では、
”謎だらけな日本企業のミーティング法”
と書いてもよいのである。そうすれば文字数も減るし、より分かりやすいかもしれない。
9.スライドはドキュメントではない
多くの人がまだ勘違いしていることとして、プレゼン資料は、WORDのようなドキュメントではなく、人に読んでもらうものではない。むしろ、見て感じてもらう、ということなのである。ドキュメントを読み上げているだけであれば、もはやプレゼンは必要ない。配付して読んでもらえばよいだけのことである。プレゼン資料はわかりやすく書いて、伝えることに重点が置かれている。そのことを強く意識することである。
どうしてもドキュメントが必要であれば、プレゼンが終わったあと、またはプレゼンの補足資料として事前または当日に配付すればよい。ただ、ドキュメントを渡してしまうと受講者はそれを読んで、プレゼン資料に目をやらない可能性があるので、注意は必要。
10.写真、図を使う
写真や図を効果的に使おう。急に人間の顔が登場したら、ドキッとしないだろうか。ちょっと刺激的でカッコいいデザインを意識してみよう。
マイクロソフトの単調な箇条書きはもう最低限にしよう。我々はもう見飽きているはずである。
なぜ、普段目にしているカッコいいデザインを、仕事にも生かさないのか。CMや広告、雑誌の表紙・・・身の回りにかっこいいデザインはあふれている。これらを意識して、自分なりのデザイン力を高めていこう。
もう白い背景に黒字で書かれたスライド、あるいは四角の線で謎に囲みまくったデザインから卒業しよう。
そのためには、日ごろから他人のスライドをTEDで見たり、本を読んだりして勉強しよう。TEDで使われている資料は、普段目にする資料とどのように異なっているか、書き出してみよう!
おすすめ プレゼンの参考になる本
ガーレイノルズ「プレゼンテーションZEN」。まずはこれを読んでほしい。プレゼンに対する考えがものすごく変わるだろう。
私は、入社して数年後に先輩から紹介されてこの本を読み、感動した。プレゼンておもしろいじゃん!と思ったものである。
プレゼン資料を作る人も作らない人もぜひ読んでほしい!