2021年10月25日、現行の「Employment Act 1955」を改正する「Employment Bill 2021」がマレーシア議会に上程され、2023年1月1日に改正法が施行された。
今回は、重要な改正店について概要を説明する。
外国人労働者の雇用厳格化
雇用主は、外国人労働者を雇用しようとする場合、申請書を労働局長官から事前の承認を得る必要がある。従来は、外国人労働者の詳細を通知することで足りていた。
妊婦の保護、男性従業員に対する育児休暇の導入
妊娠中の従業員の産休・解雇
出産休暇は、60日間から98日間に修正される。妊娠中の従業員の解雇は雇用法違反になることも明記されている。
育児休暇の導入
男性従業員に対する育児休暇の導入も盛り込まれており、12か月以上雇用され、その出産予定日を雇用主に30日以上前に通知した場合は、3日間の有給休暇を取得できる。
妊婦保護の規定 RM2000以上の賃金の女性従業員は対象外
妊婦保護の規定は、以前は賃金額に関わらずすべての女性従業員に適用されているが、法案は、月額RM2000以上の女性従業員を適用外とするものである。
セクハラについての通知掲示義務、罰則の強化
改正法は、セクシャル・ハラスメントの啓蒙のための通知を、目立つようにオフィス内に掲示することを雇用主に義務付けている。さらに、雇用主がセクハラ・苦情に対し調査を怠った場合の罰則がRM10000からRM50000に強化される。
1週間の最大就労時間の削減・病気休暇
1週間の最大労働時間を最大48時間から45時間に短縮することが盛り込まれた。病気休暇について条項を修正することにょり、従業員は通常の病気休暇から差し引くことなく、60日間の入院休暇を利用できる。
柔軟な就労形態
従業員は、就労時間、就労日数、勤務地の変更を雇用主に対して申請でき、雇用主は承認または理由を書面で付けたうえで却下することができるとしている。これは、Covid-19により、就労形態が変化せざるを得なくなったことを受けて提案されているものと思われる。
アクションアイテム
改正法は、2023年1月1日に施行された。
各社の人事担当者は、改めて改正点を確認するとともに、就業規則等の社内規則にどのような影響があるかを検討し、必要に応じて規則を変更する必要がある。
以上